『宇宙刑事ギャバン』(うちゅうけいじギャバン)は、1982年(昭和57年)3月5日から1983年(昭和58年)2月25日までテレビ朝日系で毎週金曜日19時30分から20時00分に全44話が放送された、東映製作の特撮テレビ番組、およびそれに登場したヒーローの名前。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
1981年、『ウルトラシリーズ』と『仮面ライダーシリーズ』が一旦終了し、毎週放映される特撮テレビ番組は『スーパー戦隊シリーズ』(当時は『太陽戦隊サンバルカン』)だけになった。翌1982年、従来のシリーズに頼らない新しいヒーローとして開始された番組が本作である。『宇宙刑事シリーズ』三部作の第1弾であり、それを含む『メタルヒーローシリーズ』の第1弾となった。
企画当時のタイトルは「宇宙刑事Z」で、正式な設定上の武器であるレーザーZビームに名残がある。
本作の企画のきっかけは村上克司の描いた一枚のプライベートイラストから始まった。このイラストを見た東映の吉川進は本作を「『仮面ライダー』を超える単体ヒーローの創造」としている[1]。
主演には、スーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』で戦隊のメンバーを演じ、当時のJACでエース格の大葉健二が起用された。彼によれば本作は「スポンサーが年月をかけ温めに温めた念願の作品」であり、「テレビ局、東映のプロデューサーの方達が自分の首を賭けている作品」である[2]。また鈴木武幸によると「過去最高の制作費を投入」した作品である[3]。さらに鈴木によると「凶と出たら、2度と特撮の新ヒーローは生み出せないほど」の予算額だった[4]。
大葉によるとテレビ局からスタッフに「視聴率が二桁以上行かなければ首だ」という条件が課せられる。これは本枠は『キャンディ・キャンディ』以降、主人公は女の子ばかりであり、本作は「男のヒーローでは弱すぎる!」とテレビ局から懸念されていたためである[2]。
このような状況の中で本作は成功し、平均視聴率は14.9%と前番組である『ハロー!サンディベル』の12.1%を上回った。また大葉によると「裏番組と1・2位の視聴率で戦えた」としている[2]。最高視聴率は第24話の18.6%。
技術的には、それまで実験的に使われていた東通ecgシステムのビデオ合成がふんだんに取り入れられている。企画段階では「ギンジロー」「ギンブリッド」などのタイトル案[5]があった。ギャバンの名の由来はフランスの俳優ジャン・ギャバンからだと言われている[6]。
後に『東映不思議コメディーシリーズ』と呼ばれる『ロボット8ちゃん』とほぼ同時期の企画であり、共に東映特撮に新風を吹き込むことになる。
[編集] スーパー戦隊シリーズとの関係
『バトルフィーバーJ』(曙四郎 / バトルケニア)、『電子戦隊デンジマン』(青梅大五郎 / デンジブルー)で戦隊メンバーを演じた大葉健二が主演であるほか、一部のスタッフも共通している。
テレビ朝日の期首特番『オールスター番組対抗ボウリング大会』では、開始間もない1982年3月24日放送の春大会に『男!あばれはっちゃく』と連合チームで出場、テレビ朝日の特撮ではスーパー戦隊シリーズよりも早い期首特番参加となった。そして9月29日放送の秋大会(秋の大会はこれが最後)には、スーパー戦隊シリーズ初の出場となった『大戦隊ゴーグルファイブ』と連合チームで参加、番組ではブロック戦第9フレーム前の意気込みの時、ギャバンとゴーグルファイブが登場し握手をするシーンが放送された。なお翌1983年3月23日放送の春大会では、それぞれの次作『宇宙刑事シャリバン』と『科学戦隊ダイナマン』が連合チームで参加、大葉は『シャリバン』にも参加し、計3回の出場となった。
『忍風戦隊ハリケンジャー』に大葉健二がゲスト出演した際、シュリケンジャーというキャラクターに変身する際にギャバンが蒸着する際のポーズを行っている。なお大葉健二は『バトルフィーバーJ』、『電子戦隊デンジマン』と戦隊シリーズにも出演しているが、ギャバン以降、大葉=ギャバンというイメージが大きいこととバトルケニアは変身ポーズが無くデンジブルーはシュリケンジャーの変身アイテムを持ちながらのポーズが難しいため、蒸着する際のポーズとなっている。
2012年1月21日公開の映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』で30年振りに復活。ギャバンとしては初の映画デビューを果たした。映像作品においてスーパー戦隊とメタルヒーローの初のクロスオーバー作品である[7]。
[編集] ストーリー
宇宙犯罪組織マクーの手から地球を守るために、バード星に本拠を置く銀河連邦警察より派遣された地球担当の宇宙刑事ギャバン。
かつて宇宙刑事として地球に赴任したバード星人・ボイサーと地球人・一条寺民子(いちじょうじ たみこ)の間に生まれたギャバンは、地球名・一条寺 烈(いちじょうじ れつ)を名乗る。普段はアバロン乗馬クラブで働き、マクーによる犯罪が起きたら出動する。その一方で行方不明の実父・ボイサーの消息も追う。
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